フルマウス治療で後悔しないために:カウンセリングで聞くべき質問6選

フルマウス治療を受ける前に知っておくべきこと
お口全体の治療を検討されている方にとって、初診カウンセリングは非常に重要な機会です。
フルマウス治療は、虫歯や歯周病が進行してしまった方、多くの歯を失われた方、噛み合わせに問題を抱えている方など、お口全体に治療が必要な方に対して行う包括的な治療です。
治療期間は選択される治療法によって大きく異なり、保険の入れ歯で約1ヶ月程度、All-on-4治療で5ヶ月前後、全顎インプラント治療では1〜2年程度かかることもあります。
このように大規模な治療だからこそ、事前のカウンセリングで適切な質問をすることが、後悔しない治療選択につながります。

質問1:治療計画の全体像と期間について
最初に確認すべきは、治療全体の流れです。
フルマウス治療は患者様ごとに異なるオーダーメイドの治療となります。残存歯の数や顎の骨の状態、疾患による影響など、それぞれの状況を考慮した治療計画が必要です。
「私の場合、どのような治療ステップになりますか?」
「治療完了までにどのくらいの期間がかかりますか?」
「通院回数はどのくらいになりますか?」
これらの質問により、治療の全体像が見えてきます。
例えばAll-on-4治療の場合、「検査」「術前クリーニング」「手術(仮歯セット)」「最終補綴」と最短4回で終わる治療ですが、インプラントが骨と結合するまでの免荷期間が必要なため、実際には5ヶ月前後の期間がかかります。
治療期間中は仮歯が入っていますので、食事も摂れますし見た目にも歯が入っている状態を保てます。
質問2:治療方法の選択肢と違い
フルマウス治療には複数の選択肢があります。
主な治療法の特徴
フルマウスインプラントは、インプラントにより失った歯の冠を全て支える方法です。見た目や使用感が天然の歯に最も近い治療法となります。
All-on-4は、4〜6本のインプラントを埋入し、その上に歯肉部付きの全ての歯冠を並べる方法です。毎日の取り外しの必要もなく、見た目にはわかりにくい仕上がりとなります。
総義歯(総入れ歯)は、義歯床を粘膜と密着させ、上部構造(歯の部分)を安定させる入れ歯です。取り外しての清掃が必要で、見た目にも違和感が生じることがあります。
それぞれの治療法には利点と制約があります。
「私の口腔内の状態で選択できる治療法は何ですか?」
「それぞれの治療法のメリットとデメリットを教えてください」
「機能面と審美面で、どの治療法が最適ですか?」
これらの質問を通じて、自分に合った治療法を見極めることができます。

質問3:費用の詳細と支払い方法
フルマウス治療は大きな投資となります。
費用面での不安を解消するため、具体的な質問が必要です。
「総額でどのくらいの費用がかかりますか?」
「治療費の内訳を教えてください」
「分割払いやデンタルローンは利用できますか?」
「追加費用が発生する可能性はありますか?」
保険診療と自費診療の違い
保険診療には制度上の制約があり、材料や治療方法の選択肢が限られやすい点があります。
一方で自費診療では、審美性や健康面など、患者様の価値観やライフスタイルに合わせて治療選択を行いやすくなります。
また、保険のルールとして混合診療(保険の歯と自由診療の歯の治療を混合して行うこと)はできません。例えば、上顎はAll-on-4、下顎は保険の入れ歯という組み合わせは可能ですが、同時に治療を行うことはできません。
費用について明確に理解することで、無理のない治療計画を立てることができます。
質問4:精密検査とカウンセリングの内容
フルマウス治療において最も重要なのは、「精密検査」と「カウンセリング」です。
しっかり検査して、どのような治療を希望されるかをお伺いし、それをしっかり説明して同意の上治療を進めることが治療成功への条件となります。
「どのような検査を行いますか?」
「デジタル精密検査は行いますか?」
「治療前のシミュレーションは可能ですか?」
精密検査の重要性
患者様の口腔内の条件によってはデジタル精密検査も併用し、最終的なお口の中を想像していただきやすく努めます。
綿密な治療計画の作成のためにワックスアップ模型やセットアップ模型という模型を使ったシミュレーションも行うことで、歯の動きや歯の形、噛み合わせのポジションなど治療を行う前に確認することもあります。
カウンセリングにおいては、患者様の現状の口腔内の確認・問題点の抽出・原因の模索・改善方法・お求めになられる治療のゴールの確認など、詳しくお話したうえで治療方針を決定させていただきます。
これらの検査や計画を進行しながら、虫歯治療・歯周病治療・咬合治療を同時進行で進めて行くのがフルマウス治療です。

質問5:噛み合わせと機能回復について
フルマウス治療の目的は、見た目だけでなく機能の回復です。
咀嚼能力の低下は認知症に繋がりやすいとも言われるように、しっかり噛めるようにすることで、見た目や食事以外に、健康寿命にもつながります。
最近の研究では、残存歯が少ないと認知症の発症リスクが高いこともわかってきています。
「噛み合わせの設計はどのように行いますか?」
「治療後、どの程度の咀嚼能力が回復しますか?」
「硬い食べ物も食べられるようになりますか?」
天然歯との違いについて
全顎インプラントにした場合、元通りというわけにはいきませんが、見た目の回復や歯としての機能を取り戻すことは可能です。
天然の歯とインプラントは構造的には似ていますが、天然の歯のように「たわむ」柔らかさがありません。また、インプラントには歯の根と歯槽骨の間にある「歯根膜」という組織がありません。
この歯根膜は歯と骨をつなぐ役割に加え、歯のセンサーのような役割も持っています。つまり、この歯根膜がないことで、歯に感じる微妙な感覚や噛んだときの感触が天然の歯とは違うものに感じると言われています。
しかし、それでも全顎的な治療の中で、最も天然の歯に近い見た目と構造を発揮する治療であると言えます。
質問6:治療後のメンテナンスと保証
治療が終わってからが本当のスタートです。
長期的に良好な状態を維持するためには、適切なメンテナンスが不可欠です。
「治療後のメンテナンスはどのくらいの頻度で必要ですか?」
「メンテナンス費用はどのくらいかかりますか?」
「保証制度はありますか?」
「トラブルが起きた場合の対応はどうなりますか?」
インプラント周囲炎のリスク
全ての歯をインプラントにすれば虫歯にはなりません。
ただし不潔な状態が続けばインプラント周囲炎というインプラントの歯周病のようなものに罹患してしまいます。インプラント周囲炎になると口臭が強くなったりインプラントが脱離する恐れもあります。
天然の歯と同様のお手入れと、定期的な検診を受診いただくことが重要です。
再治療リスクを下げるために定期メインテナンス(プロのクリーニングとチェック)を推奨し、バイオフィルム除去に特化した専門的なメンテナンスを行う歯科医院もあります。
治療後の長期的なサポート体制について確認することで、安心して治療を受けることができます。

まとめ:後悔しない治療選択のために
フルマウス治療は人生を変える可能性を秘めた治療です。
だからこそ、初診カウンセリングで適切な質問をすることが重要です。
治療計画の全体像、治療方法の選択肢、費用の詳細、精密検査の内容、噛み合わせの設計、そして治療後のメンテナンス・・・これら6つのポイントについて、しっかりと確認することで、後悔のない治療選択ができます。
どの治療が患者様にとって一番良いかは、患者様ごとに異なります。入れ歯で何も不満がない方は入れ歯で結構ですし、インプラントを使った治療をしたからといって誰もが満足のいく結果を得られるという保証はございません。
自分にとって治療をすることで何を治したいのか、何に重点を置くのかによってご提案する内容も変わってきます。
カウンセリングはご家族の方と一緒に受診いただくことも推奨されています。大切な歯のことですから、しっかり考えて、あなたにとって一番の治療を検討していきましょう。
シャングリラデンタル横浜歯科矯正歯科では、包括的審美治療を掲げ、精密な検査・診断を前提に、機能面と見た目の両面から理想の口元を目指す治療計画を立案しています。
完全予約制で、初診から治療、フォローアップまで理事長が中心となって一貫して対応いたします。
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著者情報
理事長 梶原 基弘NORIHIRO KAJIWARA
- 経歴
- 九州歯科大学口腔インプラント科医員 外来診療チーム長
- 九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野(口腔インプラント学)大学院歯学博士
- 関東医療法人 東京都、神奈川県にて院長に
- 資格・所属学会
- 日本口腔インプラント学会
- JSOI 日本口腔インプラント学会専門医
- 九州歯科大学歯学博士
投稿論文
- Soft tissue biological response to zirconia and metal implant abutments compared with natural tooth: microcirculation monitoring as a novel bioindicator. Kajiwara N, Masaki C, Mukaibo T, Kondo Y, Nakamoto T, Hosokawa R.Implant Dent. 2015 Feb;24(1):37-41.
- Comparison of plaque accumulation and soft-tissue blood flow with the use of full-arch implant-supported fixed prostheses with mucosal surfaces of different materials: a randomized clinical study. Kanao M, Nakamoto T, Kajiwara N, Kondo Y, Masaki C, Hosokawa R.Clin Oral Implants Res. 2013 Oct;24(10):1137-43.
Two-dimensional real-time blood flow and temperature of soft tissue around maxillary anterior implants. Nakamoto T, Kanao M, Kondo Y, Kajiwara N, Masaki C, Takahashi T, Hosokawa R.Implant Dent. 2012 Dec;21(6):522-7.
