インプラントのぐらつき原因と5つの対処法|専門医が解説

インプラント治療は失った歯の機能と審美性を回復する優れた治療法です。しかし、治療後にインプラントがぐらつくというトラブルに悩まされる方もいらっしゃいます。
インプラントは本来、骨としっかり結合して安定しているべきものです。もしぐらつきを感じるなら、何らかの問題が生じている可能性があります。
このような症状を放置すると、最終的にはインプラントが機能しなくなったり、抜け落ちたりするリスクもあるのです。
本記事では、インプラント専門医の立場から、ぐらつきの原因と効果的な対処法について詳しく解説します。
インプラントの構造と正常な状態
インプラントがぐらつく原因を理解するためには、まずインプラントの構造を知ることが大切です。インプラントは主に3つのパーツで構成されています。
骨に埋め込む「インプラント体(フィクスチャー)」、その上に装着する「アバットメント」、そして見た目の歯となる「人工歯(クラウン)」です。これらが適切に結合して初めて、安定した機能を発揮します。
正常なインプラントは、顎の骨としっかりと結合(オッセオインテグレーション)しており、天然歯と同じように安定して噛むことができます。
ただし、インプラント治療後、骨との結合が完了するまでには一定の期間が必要です。下顎で約3〜4ヶ月、上顎では約4〜6ヶ月かかります。
この期間中は特に注意が必要で、過度な負担を避けるべきです。
インプラントがぐらつく5つの主な原因
インプラントにぐらつきが生じる原因はいくつかあります。それぞれの原因を理解することで、適切な対処が可能になります。

1. インプラント周囲炎の進行
インプラント周囲炎は、インプラントを支える歯茎や骨に炎症が起きる状態です。歯周病に似た症状で、プラークの蓄積が主な原因となります。
初期症状は歯茎の腫れや赤み、出血などですが、進行すると骨が溶け、インプラントを支える土台が失われてぐらつきが生じます。
毎日の丁寧な歯磨きと定期的なプロフェッショナルケアが予防の鍵となります。
2. 骨結合の不十分さ
インプラント体と顎の骨がしっかりと結合していないと、ぐらつきの原因になります。これは手術後の経過や、患者さんの骨の質、全身の健康状態などが影響します。
糖尿病や喫煙習慣がある方は、骨との結合が不十分になりやすいことが知られています。
また、手術中のオーバーヒート(ドリルの熱による骨の損傷)も、骨結合を妨げる原因となることがあります。
3. アバットメントの緩み
アバットメントは、インプラント体と人工歯をつなぐ重要なパーツです。このネジが緩むと、インプラント自体は安定していても、上部構造がぐらつくことがあります。
歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせのバランスが悪いと、アバットメントに負担がかかりやすくなります。
これは比較的対処しやすい問題で、歯科医院でネジを締め直すことで改善できます。
4. 骨の量や質の問題
インプラントを支える顎の骨の量が不足していたり、骨の質が悪かったりすると、インプラントが安定しにくくなります。
歯を失ってから時間が経過すると、その部分の骨は徐々に吸収されていきます。また、骨密度が低い場合も、インプラントを十分に支えられないことがあります。
こうした場合は、骨移植や人工骨を用いた骨造成が必要になることもあります。
5. 過度な咬合力や不適切な噛み合わせ
インプラントには天然歯のような歯根膜がないため、噛む力がダイレクトに伝わります。強い噛み合わせや歯ぎしりがある場合、インプラントに過度な負担がかかり、ぐらつきの原因となることがあります。
また、噛み合わせが不適切だと、特定のインプラントに負担が集中し、問題が生じやすくなります。
このような場合は、噛み合わせの調整やナイトガードの使用が効果的です。
インプラントがぐらつく場合の対処法
インプラントのぐらつきを感じたら、まずは早めに歯科医院を受診しましょう。原因によって適切な対処法が異なります。
1. 専門医による診断と適切な治療

ぐらつきを感じたら、自己判断せずに速やかにインプラント治療を行った歯科医院に相談してください。
専門医が診察し、レントゲンやCTなどの検査で状態を確認した上で、適切な治療法を提案します。
早期発見・早期治療が、インプラントを長持ちさせる鍵です。放置すると症状が悪化し、最終的にはインプラントの除去が必要になることもあります。
2. インプラント周囲炎の治療
インプラント周囲炎が原因の場合は、まず炎症を抑える治療を行います。専用の器具を使った専門的なクリーニングや、抗菌剤の投与などが一般的です。
進行した症状では、外科的な処置が必要になることもあります。炎症を抑えることで、骨の吸収を防ぎ、インプラントの安定性を回復させることが可能です。
3. アバットメントの締め直しや交換
アバットメントのネジの緩みが原因であれば、締め直しを行います。場合によっては、アバットメントや人工歯の交換が必要になることもあります。
また、噛み合わせの調整も同時に行い、過度な負担がかからないようにします。
4. 噛み合わせの調整とナイトガード
過度な咬合力や歯ぎしりが原因の場合は、噛み合わせの調整を行います。また、就寝時のナイトガード(マウスピース)の使用も効果的です。
これにより、インプラントへの過度な負担を軽減し、長期的な安定を図ることができます。
5. 定期的なメンテナンスの徹底
インプラントを長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。3〜6ヶ月に一度の専門的なクリーニングと検診を受けることで、問題の早期発見・早期対応が可能になります。
また、日々の丁寧な歯磨きと、インプラント専用の清掃用具を使ったセルフケアも重要です。
インプラントのぐらつきを予防するために
インプラントのぐらつきを予防するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、信頼できる専門医による適切な診断と治療計画が重要です。インプラント治療前の精密な検査で、骨の状態や全身の健康状態を評価し、最適な治療法を選択することが成功の鍵となります。
また、治療後の定期的なメンテナンスと日々の丁寧なセルフケアが欠かせません。インプラントは天然歯と同様に、プラークの蓄積によって問題が生じる可能性があります。
喫煙や糖尿病などのリスク要因がある方は、特に注意が必要です。これらの要因は、インプラントの成功率に影響を与えることが知られています。
インプラント治療は、適切な治療とケアによって長期間安定した結果が期待できる素晴らしい治療法です。少しでも違和感を感じたら、早めに専門医に相談することをお勧めします。
当院では、最新の設備と技術を用いたインプラント治療と、長期的な安定を目指したアフターケアを提供しています。インプラントでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
詳細はシャングリラデンタル横浜歯科矯正歯科の公式サイトをご覧いただくか、お電話にてお問い合わせください。

著者情報
理事長 梶原 基弘NORIHIRO KAJIWARA
- 経歴
- 九州歯科大学口腔インプラント科医員 外来診療チーム長
- 九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野(口腔インプラント学)大学院歯学博士
- 関東医療法人 東京都、神奈川県にて院長に
- 資格・所属学会
- 日本口腔インプラント学会
- JSOI 日本口腔インプラント学会専門医
- 九州歯科大学歯学博士
投稿論文
- Soft tissue biological response to zirconia and metal implant abutments compared with natural tooth: microcirculation monitoring as a novel bioindicator. Kajiwara N, Masaki C, Mukaibo T, Kondo Y, Nakamoto T, Hosokawa R.Implant Dent. 2015 Feb;24(1):37-41.
- Comparison of plaque accumulation and soft-tissue blood flow with the use of full-arch implant-supported fixed prostheses with mucosal surfaces of different materials: a randomized clinical study. Kanao M, Nakamoto T, Kajiwara N, Kondo Y, Masaki C, Hosokawa R.Clin Oral Implants Res. 2013 Oct;24(10):1137-43.
Two-dimensional real-time blood flow and temperature of soft tissue around maxillary anterior implants. Nakamoto T, Kanao M, Kondo Y, Kajiwara N, Masaki C, Takahashi T, Hosokawa R.Implant Dent. 2012 Dec;21(6):522-7.
