歯がボロボロで噛めない…総入れ歯しかない?フルマウス治療の選択肢を整理

歯がボロボロになった時、本当に総入れ歯しか選択肢はないのでしょうか
鏡を見るたびに気になる歯の状態・・・。
虫歯が進行して歯が欠けてしまった方、歯周病で歯がグラグラしている方、長年の治療中断で口腔内がボロボロになってしまった方。そんな状態でも「もう総入れ歯しかない」と諦める必要はありません。
現代の歯科医療では、**フルマウス治療**という包括的なアプローチによって、様々な選択肢が用意されています。お口全体を見据えた治療計画を立てることで、機能面と審美面の両方を回復させることが可能なのです。
この記事では、日本口腔インプラント学会認定のインプラント専門医として、歯がボロボロになった方への治療選択肢を詳しく解説します。
フルマウス治療とは何か~お口全体を見据えた包括的アプローチ
**フルマウス治療**は、文字通り「お口全体(Full-Mouth)」を対象とした治療です。
咬合再構成とも呼ばれるこの治療法は、1本の歯だけを治すのではなく、上下左右すべての歯と顎関節、咬み合わせを総合的に評価し、治療計画を立てます。全体的に虫歯が多い方、形の崩れた被せ物や詰め物が口腔内全体に装着されている方、歯がボロボロになって噛めるところが少なくなった方などが対象となります。

やみくもな治療では噛めない口腔環境になってしまう
部分的な治療を繰り返すだけでは、全体の咬み合わせが崩れてしまう可能性があります。
事前にしっかりと治療計画を立て、患者様とのカウンセリングを重ねて合意のもと治療を開始することが重要です。治療の手順は患者様ごとに異なり、虫歯・歯周病・咬合変化の重篤度によって変わるため、必然的にオーダーメイドの治療となります。
精密検査とカウンセリングが治療成功の鍵
フルマウス治療で最も重要なのは「精密検査」と「カウンセリング」です。
残存歯の数や顎の骨の状態、疾患による影響、患者様の希望などを考慮したオーダーメイドの治療計画を立案します。歯科用CTやレントゲン、口腔内スキャナなどの精密機器を使用し、現在の状態をしっかり把握することで、患者様に最適な治療選択を提供できるのです。
歯がボロボロになる主な原因~なぜそうなったのかを理解する
歯がボロボロになってしまう背景には、いくつかの共通した要因があります。
歯科医院に足を運べない期間が長くなる理由
**歯科恐怖症**や**嘔吐反射**で受診できない方がいます。
多忙で通院時間が取れず治療を中断・放置してしまう方、過去の経験がトラウマで受診を避けてしまう方も少なくありません。清掃不良や不正咬合によるリスクの蓄積、妊娠・育児などライフイベントによる中断など、様々な理由で歯科医院から遠ざかってしまうのです。
共通点は、定期的に通院できていないこと。定期的に通院していれば、歯がボロボロになることは考えにくいのです。

歯周病と虫歯~静かに進行する疾患
**歯周病**は静かに進む感染症です。
症状に乏しい時期が長く、気づいたときには歯を支える骨が減っていることがあります。**虫歯**は口内の細菌が酸を産み、歯質が溶ける疾患。放置すると隣在歯へ波及し、複数歯に進行が及ぶこともあります。
**不正咬合**の場合、一部の歯に負担が集中して破折・磨耗を招いたり、清掃性低下で虫歯・歯周病が進行したりします。
多数歯欠損の方への治療選択肢~保険診療と自費診療の違い
多数の歯を失った方にとって、治療選択肢は大きく分けて保険診療と自費診療があります。
保険診療の場合は入れ歯が基本
保険診療では、多数歯欠損の場合、入れ歯治療が基本となります。
費用面では大きなメリットがあり、3割負担の場合で2万円~2万5,000円程度、後期高齢者の1割負担で7,000円程度が目安です。しかし、噛む力が天然歯の約1/5~1/10程度に低下し、装着感や違和感が強く、慣れるまで時間がかかるというデメリットもあります。
自費診療で広がる選択肢
自費診療を選択肢に入れることで、保険の入れ歯よりも精密な義歯を作ったり、インプラントを使った治療が可能となります。
見た目や食事の楽しみなど、生活の質を落とさないためには、インプラントを使った治療のほうが機能的な回復は見込めます。咀嚼能力の低下は認知症に繋がりやすいとも言われており、しっかり噛めるようにすることで、健康寿命にもつながるのです。

フルマウスインプラント治療~天然歯に最も近い機能回復
フルマウスインプラント治療は、失った歯の機能を最も効果的に回復できる方法です。
実際には全ての欠損歯をインプラントにするわけではない
インプラントにより失った歯の冠を全て支えます。
見た目や使用感が天然の歯に最も近い治療法となります。ただし、実際には全ての欠損歯一本一本にインプラントを埋入するわけではなく、戦略的に配置されたインプラントで上部構造を支える設計となります。
All-on-4という選択肢
**All-on-4**は、4~6本のインプラントを埋入し、その上に歯肉部付きの全ての歯冠を並べる方法です。
毎日の取り外しの必要もなく、見た目にはわかりにくい仕上がりとなります。片顎あたりの費用は総額180~400万円程度、上下両方の顎を治療する場合は360~800万円程度が一般的な相場です。
費用の内訳は、検査・診断費用が1万5,000円~5万円、手術費用が120万~180万円、人工歯の作製費用が60万~180万円程度となります。
骨量が不足している場合の対応
骨の状態によっては、サイナスリフトや骨造成などの追加処置が必要になることもあります。
サイナスリフト(上顎洞挙上術)は約10~15万円の追加費用がかかります。ザイゴマインプラントという頬骨に埋入する特殊なインプラントを使用する場合は、さらに高額になることがあります。
総義歯(総入れ歯)という選択~費用面でのメリットと機能面の課題
総入れ歯は、上下のどちらか、またはすべての歯を失った際に適応となる一般的な治療方法です。
義歯床を粘膜と密着させる仕組み
人工歯とプラスチック製の歯茎を組み合わせたシンプルな構造で、歯茎に吸盤のように吸い着くことで固定します。
粘膜と義歯床で歯冠部を支えるため、取り外しての清掃が必要で、見た目にも違和感が生じることがあります。
総入れ歯のデメリット
噛む力が天然歯の約1/5~1/10程度に低下します。
装着感や違和感が強く、慣れるまで時間がかかります。発音しづらい場合があり、顎の骨が徐々に痩せていく(顔のたるみの原因になる)という問題もあります。定期的な調整や作り直しが必要です。

シャングリラデンタル横浜歯科矯正歯科のフルマウス治療アプローチ
当院では、包括的審美治療を掲げています。
複数の治療オプションを提示する方針
単に悪いところだけを対処するのではなく、精密な検査・診断を前提に、機能面と見た目の両面から理想の口元を目指す治療計画を立案します。
治療の選択肢を一つに絞って押し付けるのではなく、複数の治療オプションを提示し、患者様が自分に合うものを選べる考え方を大切にしています。
最新設備による精密診断
マイクロスコープ(拡大視野で精密治療に活用)、歯科用CT(3D情報で神経・血管位置把握)、口腔内スキャナ(3Dデータ取得)、3Dプリンター(ガイド作製)など、精密診断・精密治療のための設備を完備しています。
これらの機器を活用することで、より正確な診断と治療計画の立案が可能となります。
院長主治医制による一貫した治療
初診の診査診断から治療、フォローアップまでを理事長が中心となって担当・管理する方針です。
日本口腔インプラント学会(JSOI)認定のインプラント専門医として、一貫した治療提供を行います。プライバシーに配慮した環境づくりとして、完全予約制を採用し、診療は個室または半個室で行う方針です。
フルマウス治療の進め方~初診から治療完了まで
フルマウス治療は、段階的に進めていく包括的なプロセスです。
初診時の流れ
まずカウンセリングで悩みや希望を確認し、検査・診断を行った上で治療提案を行います。
初回ではレントゲン撮影・歯周病検査・口腔内写真などを実施し、痛みや欠け等がある場合は応急処置を行います。患者様の口腔内の条件によってはデジタル精密検査も併用し、最終的なお口の中を想像していただきやすく努めます。
土台づくりとしての初期治療
2回目以降は、土台づくりとしての初期治療を重視します。
歯垢・歯石除去、歯肉炎症の軽減、ブラッシング指導、再評価などを行い、その後に本格治療(オーダーメイド治療)へ進みます。方針は「残せる歯は保存」→「進行を止める」→「失った所を回復」の順で、全体の咬み合わせを作り直していきます。
治療後のメインテナンス
治療後は、再治療リスクを下げるために定期メインテナンスを推奨しています。
プロのクリーニングとチェックを定期的に受けることで、治療効果を長期的に維持することができます。バイオフィルム除去に特化したGBTメンテナンスにも対応しています。
まとめ~諦めずに相談することから始めましょう
歯がボロボロになってしまった状態でも、総入れ歯だけが選択肢ではありません。
フルマウス治療という包括的アプローチによって、フルマウスインプラント、All-on-4、精密義歯など、様々な治療選択肢があります。それぞれの治療法には、費用面、機能面、審美面でのメリット・デメリットがあり、患者様の状態や希望に応じて最適な方法を選択することが重要です。
「歯医者が怖い」「見せるのが恥ずかしい」と感じる方ほど、私たちは力になりたいと考えています。
叱ったり責めたりすることはありません。相談にこられるだけでも大丈夫です。現在のお口の状態より良くする計画を、一緒に立てるところから始めましょう。
シャングリラデンタル横浜歯科矯正歯科では、包括的審美治療の考え方のもと、複数の治療オプションを提示し、患者様が自分に合った治療を選択できるようサポートしています。
まずは無料カウンセリングで、あなたのお口の状態を確認し、どのような治療が可能かを一緒に考えていきましょう。
お問い合わせ
シャングリラデンタル横浜歯科矯正歯科
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい5丁目1番2号 横浜シンフォステージ ウエストタワー3F
電話:045-211-4618
診療時間:10:00~19:00
休診日:不定休(祝日は休診)
アクセス:みなとみらい線「高島駅」徒歩1分

著者情報
理事長 梶原 基弘NORIHIRO KAJIWARA
- 経歴
- 九州歯科大学口腔インプラント科医員 外来診療チーム長
- 九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野(口腔インプラント学)大学院歯学博士
- 関東医療法人 東京都、神奈川県にて院長に
- 資格・所属学会
- 日本口腔インプラント学会
- JSOI 日本口腔インプラント学会専門医
- 九州歯科大学歯学博士
投稿論文
- Soft tissue biological response to zirconia and metal implant abutments compared with natural tooth: microcirculation monitoring as a novel bioindicator. Kajiwara N, Masaki C, Mukaibo T, Kondo Y, Nakamoto T, Hosokawa R.Implant Dent. 2015 Feb;24(1):37-41.
- Comparison of plaque accumulation and soft-tissue blood flow with the use of full-arch implant-supported fixed prostheses with mucosal surfaces of different materials: a randomized clinical study. Kanao M, Nakamoto T, Kajiwara N, Kondo Y, Masaki C, Hosokawa R.Clin Oral Implants Res. 2013 Oct;24(10):1137-43.
Two-dimensional real-time blood flow and temperature of soft tissue around maxillary anterior implants. Nakamoto T, Kanao M, Kondo Y, Kajiwara N, Masaki C, Takahashi T, Hosokawa R.Implant Dent. 2012 Dec;21(6):522-7.
