オールオン4を長持ちさせるメンテナンス法|通院頻度と自宅ケアのポイント

オールオン4のメンテナンスが必要な理由
オールオン4は人工の歯根と人工歯で構成されているため、虫歯になる心配はありません。
しかし、歯周病には大変弱く、適切なメンテナンスを怠ると「インプラント周囲炎」という深刻な問題を引き起こす可能性があります。インプラント周囲炎は、インプラントと歯茎の間に歯垢がたまり、そこで歯周病菌が繁殖することで歯茎に炎症を起こす状態です。
天然歯は顎の骨と「歯根膜」で隔たれていますが、オールオン4を含むインプラントは顎の骨に直接定着します。そのため、歯周病菌が繁殖してから顎の骨が溶けてしまうまでの進行は、天然歯よりも早い傾向があります。
症状が進行すると、インプラントを支える骨が溶かされてグラグラになり、最終的にはインプラントが抜けてしまうこともあります。オールオン4の寿命は一般的に10〜15年とされていますが、適切なメンテナンスを続けることで20年以上使用できる可能性も十分にあります。
自宅でできるオールオン4のセルフケア
オールオン4を長持ちさせるためには、毎日の丁寧なセルフケアが欠かせません。
ワンタフトブラシと歯ブラシでの手入れ
オールオン4の清掃には、通常の歯ブラシに加えて「ワンタフトブラシ」の使用が推奨されます。ワンタフトブラシは毛束が小さく、歯ブラシでは届かない細かい部分まで清掃できるため、歯周病菌の巣となるプラークを効果的に除去できます。
上部構造の歯と歯の間には隙間がないため、デンタルフロスや歯間ブラシは基本的に不要です。ただし、上部構造の裏側やインプラントと接している部分は特に丁寧に磨く必要があります。歯ブラシは柔らかすぎず硬すぎないものを選び、ペンを持つように軽く持って小刻みに動かしましょう。
抗菌作用のあるマウスウォッシュの活用
歯磨きの後に、抗菌効果のある洗口液でうがいをすることで、細菌が繁殖しにくい環境が期待できます。
インプラント周囲炎は汚れの中にひそんでいる細菌が原因のため、汚れをきれいにして細菌が増えないようにすることが大切です。毎食後と就寝前の歯磨きを基本とし、可能であれば歯間ブラシも週数回取り入れると、セルフケアの効果が高まります。
生活習慣の見直しもセルフケアの一つ
喫煙はインプラント治療全体にとって大きなリスクファクターです。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は血管を収縮させ、歯肉や顎骨への血流を悪化させます。これにより、組織の回復力が低下し、インプラント周囲炎が進行しやすくなります。
また、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、ナイトガードの使用がおすすめです。無意識に行っている歯ぎしりや食いしばりは、上部構造やネジにダメージが蓄積し、破損や脱落の原因になります。
歯科医院での定期メンテナンスの重要性

どんなに丁寧にセルフケアをしていても、自分では取りきれない汚れや気づけないトラブルがあります。
通院頻度の目安は3〜6ヶ月に1回
オールオン4の患者様は、3ヶ月に1回程度のメンテナンスを受けることが推奨されます。お口の状態などによって異なりますが、一般的に3〜6ヶ月に1度程度が目安です。
定期検診を怠ることで、気づかないうちにトラブルが進行し、寿命を縮めてしまうこともあります。歯科医院では、歯周ポケットの深さや炎症の有無、ネジの緩み、インプラント周囲の骨の状態などを診査し、必要に応じて上部構造を取り外して清掃します。
歯科医院で行う具体的なメンテナンス内容
歯科医院でのメンテナンスでは、以下のような内容が行われます。
- インプラントの安定性と健康状態の確認・・・インプラントがしっかりと骨に固定されているか、周囲の歯茎や骨が健康であるかを確認します。
- 上部構造のフィット感の確認・・・上部構造のフィット感が悪くなった場合、再調整が必要になることがあります。
- 歯科衛生士によるクリーニング・・・義歯やインプラント周囲の歯茎を専門的にクリーニングし、プラークや歯石を徹底的に除去します。
- 噛み合わせの調整・・・噛み合わせが悪い状態で使っていると一部に噛む力が集中し、顎に負担がかかるだけでなく、上部構造や最悪の場合はインプラントまで破損してしまう可能性があります。
必要に応じてスクリューを外して上部構造を取り外し、清掃を行います。このタイミングは担当医が適切な時期を判断します。
オールオン4を長持ちさせるための応用ポイント
食生活への配慮
インプラントの寿命は、食生活の影響を大きく受けます。特に硬いもの、粘着性のあるものなどばかりを好んで摂取していると、ダメージが蓄積されやすくなります。氷を噛む、硬いおせんべいをよく食べる、ガムやキャラメルを長時間噛むといった習慣は、構造を壊してしまう原因になり得ます。
噛み合わせの定期的なチェック
オールオン4の寿命を延ばす上で、噛み合わせも重要な要素です。片方だけに過剰な力がかかる噛み方になっていると、片方のインプラントや上部構造に負担が集中し、トラブルの原因となります。治療後も、咬合が変化していないかをチェックし、必要があれば微調整することが求められます。
メンテナンスを怠った場合のリスク
オールオン4のメンテナンスを怠ると、再治療が必要になるリスクが高まります。インプラント周囲炎が進行すると、インプラントを支える骨が溶けてしまい、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。
また、噛み合わせが悪くなって生活の質が落ちる可能性もあります。定期的なメンテナンスを受けることで、こうしたリスクを最小限に抑えることができます。
まとめ
オールオン4を長持ちさせるためには、自宅でのセルフケアと歯科医院での定期メンテナンスの両方が欠かせません。
ワンタフトブラシや抗菌作用のあるマウスウォッシュを活用した毎日のケアに加えて、3〜6ヶ月に1回の定期検診を受けることで、インプラント周囲炎を予防し、快適な状態を長く維持できます。また、喫煙や歯ぎしり、食生活などの生活習慣を見直すことも、オールオン4の寿命を延ばす重要なポイントです。
適切なメンテナンスを続けることで、オールオン4は10年、20年と長く使い続けることができます。
オールオン4治療をお考えの方、すでに治療を受けられた方で、メンテナンスについてご不安やご質問がある方は、ぜひ一度ご相談ください。詳細はこちら:シャングリラデンタル横浜歯科矯正歯科

著者情報
理事長 梶原 基弘NORIHIRO KAJIWARA
- 経歴
- 九州歯科大学口腔インプラント科医員 外来診療チーム長
- 九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野(口腔インプラント学)大学院歯学博士
- 関東医療法人 東京都、神奈川県にて院長に
- 資格・所属学会
- 日本口腔インプラント学会
- JSOI 日本口腔インプラント学会専門医
- 九州歯科大学歯学博士
投稿論文
- Soft tissue biological response to zirconia and metal implant abutments compared with natural tooth: microcirculation monitoring as a novel bioindicator. Kajiwara N, Masaki C, Mukaibo T, Kondo Y, Nakamoto T, Hosokawa R.Implant Dent. 2015 Feb;24(1):37-41.
- Comparison of plaque accumulation and soft-tissue blood flow with the use of full-arch implant-supported fixed prostheses with mucosal surfaces of different materials: a randomized clinical study. Kanao M, Nakamoto T, Kajiwara N, Kondo Y, Masaki C, Hosokawa R.Clin Oral Implants Res. 2013 Oct;24(10):1137-43.
Two-dimensional real-time blood flow and temperature of soft tissue around maxillary anterior implants. Nakamoto T, Kanao M, Kondo Y, Kajiwara N, Masaki C, Takahashi T, Hosokawa R.Implant Dent. 2012 Dec;21(6):522-7.
