〒220-0012神奈川県横浜市西区みなとみらい5丁目1番2号横浜シンフォステージ ウエストタワー3F
BLOG
歯列矯正を検討されている方の多くが、「痛みはどのくらい続くのか」という不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
矯正治療は美しい歯並びを手に入れるための素晴らしい選択肢ですが、治療中の痛みについて正しい知識を持っておくことで、より安心して治療に臨むことができます。
この記事では、歯科矯正専門医の視点から、矯正治療中に生じる痛みの原因や期間、そして効果的な対処法について詳しく解説していきます。痛みに対する不安を和らげ、スムーズな矯正治療をサポートする情報をお届けします。
歯列矯正で感じる痛みには、いくつかの種類があります。まずは痛みが生じる原因について理解しておきましょう。
矯正治療中に感じる痛みは、大きく分けて3つの原因があります。それぞれの痛みのメカニズムを知ることで、不安を軽減することができるでしょう。
矯正治療の本質は、歯を少しずつ動かして理想的な位置に整えることです。歯は顎の骨(歯槽骨)にしっかりと固定されているため、簡単には動きません。
矯正装置によって歯に圧力をかけると、圧力がかかった側の骨が少しずつ溶け、反対側では新しい骨が作られます。この「骨の吸収と再生」のプロセスによって歯が動くのです。
この過程で「プロスタグランジンE2」という物質が分泌され、これが痛みの原因となります。つまり、痛みを感じるということは、歯が正しく動いている証拠でもあるのです。
肩こりや筋肉痛のような鈍い痛みとして感じることが多く、歯が動き始める時に最も強く感じられます。
ワイヤー矯正の場合、ブラケットやワイヤーが頬の内側や舌に当たって痛みを感じることがあります。
矯正装置は口腔内では異物ですので、装着直後は違和感が強く、粘膜に当たって口内炎になることもあります。特に装置装着から2〜3か月間は違和感を感じやすい時期です。
また、矯正治療中に歯が動くことで、ワイヤーの端が口腔内の粘膜を傷つけてしまうこともあります。このような場合は、早めに歯科医院で調整してもらうことが大切です。
矯正治療中、特に装置の調整直後は、食べ物を噛むときに痛みを感じることがあります。これは歯に圧力がかかることで、すでに敏感になっている歯や歯茎に刺激が加わるためです。
硬い食べ物や、前歯でかじり取る必要がある食べ物を食べるときに特に痛みを感じやすくなります。
この痛みは一時的なもので、歯が新しい位置に慣れてくると徐々に和らいでいきます。痛みが強い時期は、柔らかい食べ物を選ぶなどの工夫をすることで対処できます。
「矯正の痛みはいつまで続くのだろう?」
これは多くの患者さんが抱える不安です。痛みの持続期間は個人差がありますが、一般的なパターンがあります。
矯正装置を装着してから、痛みを感じ始めるのは通常3〜6時間後からです。そして装着から2〜3日後に痛みのピークを迎えることが多いでしょう。
その後、痛みは徐々に和らぎ、1週間程度でほとんど気にならなくなるというのが一般的なパターンです。マウスピース矯正の場合も、新しいマウスピースに交換した直後は同様の痛みを感じることがあります。
ただし、これはあくまで平均的な目安であり、個人差があることを覚えておいてください。痛みに対する感受性は人それぞれですので、ほとんど痛みを感じない方もいれば、より強く感じる方もいらっしゃいます。
通常、矯正の痛みは1週間程度で落ち着きますが、2週間以上痛みが続く場合や、痛みが強くなる場合は、何か問題が生じている可能性があります。
例えば、矯正装置の一部が破損している、ワイヤーが外れて粘膜を傷つけている、あるいは虫歯や歯周病などの別の問題が生じているといったケースが考えられます。
2週間以上痛みが続く場合や、我慢できないほどの強い痛みがある場合は、早めに歯科医院に相談することをおすすめします。適切な処置を受けることで、不必要な痛みを避けることができます。
矯正方法によって、痛みの感じ方に違いがあることも知っておくと良いでしょう。
一般的に、マウスピース矯正(インビザラインなど)はワイヤー矯正と比較して、痛みが少ないと言われています。これは、マウスピース矯正では歯に加える力が比較的弱く、また口腔内の粘膜を傷つけるリスクが低いためです。
ただし、マウスピース矯正でも新しいマウスピースに交換した直後は痛みを感じることがありますし、個人差も大きいため、「絶対に痛くない」とは言い切れません。
矯正方法の選択は、痛みの程度だけでなく、症例の難易度や治療期間、費用なども考慮して、歯科医師と相談しながら決めることが大切です。
矯正中の痛みは避けられない場合もありますが、いくつかの方法で和らげることができます。ここでは、痛みを軽減するための効果的な対処法をご紹介します。
矯正装置の調整直後など、痛みが強い時期は、硬い食べ物や噛み切る必要がある食べ物を避け、柔らかい食べ物を選ぶことで痛みを軽減できます。
おすすめの食べ物としては、お粥、豆腐、スクランブルエッグ、マッシュポテト、アボカド、ヨーグルト、スープなどが挙げられます。これらは噛む負担が少なく、栄養も摂れる食品です。
また、冷たい食べ物や飲み物は、一時的に痛みを和らげる効果があります。アイスクリームやシャーベット、冷たいスムージーなどを適度に取り入れるのも良いでしょう。
ただし、柔らかい食べ物ばかりを長期間続けると、顎の筋肉のバランスが崩れる可能性があります。痛みが和らいできたら、徐々に通常の食事に戻していくことをおすすめします。
ワイヤー矯正の場合、矯正装置が頬や舌に当たって痛みを感じることがあります。そんなときは矯正用ワックスが役立ちます。
矯正用ワックスは、痛みの原因となっている装置の部分に貼り付けて使用します。ワックスが装置と粘膜の間のクッションとなり、摩擦や刺激を軽減してくれます。
使用方法は簡単です。まず、適量のワックスを指でまるめ、痛みを感じる装置の部分に優しく押し付けるだけです。ただし、食事や歯磨きの際には外れやすいので、必要に応じて付け直してください。
矯正用ワックスは歯科医院でもらえますので、痛みが気になる場合は遠慮なく相談してみましょう。
歯や歯茎の痛みに対しては、冷やすことで一時的に痛みを和らげることができます。
保冷剤や氷を薄い布で包み、痛みを感じる部分の外側から当てると効果的です。特に体が温まっている入浴後や就寝前など、痛みが強く感じられるときにおすすめです。
また、温かい食塩水でうがいをすることも効果的です。食塩水は浸透圧の変化によって痛みを軽減する効果があるとされています。ぬるま湯に少量の塩を溶かし、1日数回うがいをしてみましょう。
ただし、あまりに頻繁に冷やしすぎると矯正の効果が弱まる可能性もありますので、痛みが強いときの一時的な対処法として活用するのが良いでしょう。
どうしても痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合は、痛み止めの服用も検討できます。
一般的に、市販の鎮痛剤(アセトアミノフェン系など)は矯正の痛みにも効果があります。ただし、長期間の連続使用は避け、用法・用量を守って適切に使用することが大切です。
また、痛み止めの中には歯の移動を遅らせる可能性があるものもあります。特に抗炎症作用の強い薬(ロキソニンなど)は、歯の移動に必要な炎症反応を抑えてしまう可能性があるため、頻繁な使用は避けた方が良いでしょう。
痛み止めを服用する際は、担当の歯科医師に相談し、適切な薬を選ぶことをおすすめします。
矯正方法によって痛みの感じ方に違いがあることを知っておくと、治療法を選ぶ際の参考になります。
一般的に、マウスピース矯正はワイヤー矯正と比較して痛みが少ないと言われています。これには主に2つの理由があります。
まず、マウスピース矯正では歯に加える力が比較的弱く、段階的に調整されるため、急激な痛みが生じにくいという特徴があります。
また、マウスピース矯正では金属製のブラケットやワイヤーを使用しないため、口腔内の粘膜を傷つけるリスクが低く、口内炎などによる痛みも少ない傾向にあります。
舌側矯正は、ブラケットやワイヤーを歯の裏側(舌側)に装着する矯正方法です。見た目に矯正装置が目立たないというメリットがありますが、痛みの面ではどうでしょうか。
舌側矯正では、装置が舌に接触することで、特に治療初期には発音しづらさや違和感を感じることがあります。また、舌に装置が当たることによる痛みや不快感を感じる方もいらっしゃいます。
ただし、最近の研究では、舌側矯正の方が頬側(表側)の矯正よりも痛みが少ないという報告もあります。これは、舌側の方が歯に加わる力の分散が異なるためと考えられています。
どの矯正方法を選ぶかは、痛みの程度だけでなく、症例の難易度や治療期間、費用、生活スタイルなども考慮して、歯科医師と相談しながら決めることが大切です。
最後に、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。矯正治療中の痛みに関する疑問解消にお役立てください。
矯正の痛みで眠れない場合は、以下の対処法を試してみてください。
まず、就寝前に痛み止めを服用する方法があります。痛みが強い場合は、担当医に相談の上、適切な鎮痛剤を服用するとよいでしょう。
また、就寝前に冷たい水でうがいをしたり、患部を外側から冷やしたりすることで、一時的に痛みを和らげることができます。
さらに、リラックス効果のあるハーブティーを飲んだり、入浴でリラックスしたりすることも、痛みの感覚を和らげるのに役立ちます。
どうしても痛みが強く、数日間眠れないような状況が続く場合は、担当医に相談しましょう。矯正装置の調整が必要かもしれません。
矯正中の痛みで食事が難しい場合は、食べ方や食べ物を工夫しましょう。
まず、小さく切った柔らかい食べ物を選び、ゆっくりと時間をかけて食べることをおすすめします。特に痛みが強い時期は、流動食や半流動食を中心にすると良いでしょう。
具体的には、ヨーグルト、スムージー、ポタージュスープ、お粥、豆腐、茶碗蒸し、マッシュポテトなどが食べやすいでしょう。
また、冷たい食べ物は一時的に痛みを和らげる効果がありますので、アイスクリームやシャーベットなども適度に取り入れるとよいでしょう。
ただし、栄養バランスにも配慮し、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素もしっかり摂取できるよう工夫してください。
矯正の痛みは、治療期間中ずっと続くわけではありません。
一般的に、装置の調整直後に痛みを感じ、2〜3日でピークを迎え、1週間程度で落ち着くというサイクルを繰り返します。また、治療が進むにつれて、体が矯正装置に慣れてきて、痛みを感じにくくなる傾向があります。
矯正治療の後半になると、歯の移動量も少なくなるため、痛みもかなり軽減されるでしょう。
ただし、個人差があることを忘れないでください。痛みに敏感な方もいれば、あまり気にならない方もいらっしゃいます。
また、2週間以上痛みが続く場合や、急に強い痛みが生じた場合は、何か問題が生じている可能性がありますので、早めに歯科医院に相談することをおすすめします。
歯列矯正の痛みは、多くの場合一時的なものであり、適切な対処法を知っておくことで乗り越えられるものです。
矯正治療中の痛みの主な原因は、歯が動くことによる痛み、矯正装置が口腔内に当たることによる痛み、食べ物を噛むときの痛みの3つです。
痛みのピークは装置調整後2〜3日で、多くの場合1週間程度で落ち着きます。また、マウスピース矯正はワイヤー矯正と比較して痛みが少ない傾向にありますが、個人差も大きいです。
痛みへの対処法としては、柔らかい食べ物を選ぶ、矯正用ワックスを活用する、患部を冷やす・温める、必要に応じて痛み止めを適切に使用するなどの方法があります。
矯正治療は長期間にわたりますが、痛みはずっと続くわけではありません。治療が進むにつれて体が慣れ、痛みも感じにくくなっていきます。
美しい歯並びを手に入れるための過程として、一時的な痛みや不快感を乗り越え、理想の笑顔に近づいていきましょう。不安なことがあれば、遠慮なく担当医に相談することをおすすめします。
歯列矯正に関するより詳しい情報や、痛みの少ない最新の矯正治療についてお知りになりたい方は、シャングリラデンタル横浜歯科矯正歯科にお気軽にご相談ください。経験豊富な専門医が、あなたに最適な矯正治療をご提案いたします。
Two-dimensional real-time blood flow and temperature of soft tissue around maxillary anterior implants. Nakamoto T, Kanao M, Kondo Y, Kajiwara N, Masaki C, Takahashi T, Hosokawa R.Implant Dent. 2012 Dec;21(6):522-7.