歯列矯正は保険適用になる?子ども・大人別の条件と医療費控除のポイント

歯列矯正の保険適用について知っておきたい基本
「歯列矯正を考えているけれど、費用が心配・・・」
多くの患者様からこのようなご相談をいただきます。歯列矯正は決して安価な治療ではありませんが、実は条件によっては保険適用になるケースがあることをご存知でしょうか。
基本的に、歯列矯正は**審美的な目的**で行われることが多いため、保険適用外の自由診療となります。しかし、厚生労働省が定める特定の条件を満たす場合には、健康保険が適用されるのです。
子どもの歯列矯正が保険適用になる条件
お子様の歯列矯正については、比較的多くのケースで保険適用が認められます。
発育段階における機能改善が目的の場合
子どもの成長を阻害しないために行う不正咬合の歯列矯正は、医療的な必要性が認められます。発育段階にあるお子様の場合、歯並びや噛み合わせの問題が将来的な健康に影響を及ぼす可能性があるため、保険適用の対象となることが多いのです。
ただし、すべての子どもの矯正が対象になるわけではありません。永久歯が生えそろう時期に行われる二期治療は、大人の矯正と判断されることもあります。一方で、乳歯と永久歯が混在する時期の一期治療からの移行であれば、子どもの矯正として認められる可能性が高くなります。
前歯の永久歯萌出不全による治療
前歯の永久歯が**3本以上**生えてこない場合も、保険適用の対象となります。
多くの場合、歯茎の中に永久歯が埋まったままになっている「埋伏歯」の状態です。この場合、歯茎を切開して歯を引っ張り出す「埋伏歯開窓術」が必要になり、こうした外科的処置を伴う矯正治療は機能回復のために必要と判断されます。
大人の歯列矯正で保険適用になるケース
成人の歯列矯正は、基本的に保険適用外となります。しかし、特定の条件を満たせば保険診療が可能です。
厚生労働省が定める特定疾患に該当する場合
2025年6月現在、**66種類**の疾患が保険適用の対象として指定されています。代表的なものとしては、唇顎口蓋裂、ダウン症候群、ゴールデンハー症候群などが挙げられます。
これらの疾患は先天性のものが多く、口腔内の機能に影響を与えるため、健康上の理由から矯正治療が必要とされています。約2年ごとに見直しが行われ、新たに対象となる疾患が追加される可能性もあります。
顎変形症による噛み合わせ異常がある場合
顎変形症とは、上下の顎の位置や形状に異常があり、不正咬合を引き起こす疾患です。代表的な例としては、下顎が上顎よりも前に突き出る「下顎前突(受け口)」があります。
保険適用の条件としては、「**顎口腔機能診断施設**」として指定された医療機関で診断を受け、矯正治療に加えて顎の骨を切るなどの外科手術が必要と判断されることが必要です。顎変形症と似た症状でも、口腔機能に問題がない場合や、不正咬合が顎の歪みと関係していない場合は保険適用外となります。
大人の歯列矯正で医療費控除を申告する場合は、歯科医師の診断書が必要なケースがあります。診断書の発行が可能かどうか、事前に確認しておくと安心です。
保険適用を受けるための具体的な手続き
保険適用で歯列矯正を受けるためには、特定の手続きが必要です。
指定医療機関での診断を受ける
まず、保険適用が可能な医療機関を探す必要があります。地方厚生局のホームページにアクセスし、「施設基準届出受理医療機関名簿」を検索してください。そのPDFから「矯診」あるいは「顎診」の指定医療機関を見つけることができます。
「矯診」の指定医療機関では、厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常や、前歯3本以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常の矯正治療が保険適用となります。「顎診」の指定医療機関では、顎変形症の手術前・後の矯正治療が保険適用の対象です。
診断書の取得と保険機関への審査
歯科医師による診断を受け、保険適用の必要性があると判断されたら診断書が発行されます。この診断書には、症状とその原因となる疾患、治療方針や保険の必要性などが記載されます。

その内容が保険機関に審査されて妥当性が認められると、保険診療での歯列矯正が可能になります。診断から治療開始までには数週間、場合によっては数ヵ月を要することもあるため、余裕をもって相談することをおすすめします。
医療費控除を活用して費用負担を軽減する方法
保険適用外の矯正治療でも、医療費控除を利用することで費用負担を軽減できます。
医療費控除の基本的な仕組み
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が**10万円を超えた場合**、確定申告を行うことで税金の一部が還付される制度です。歯列矯正は費用が高額になることが多いので、10万円を超えることは難しくないでしょう。
医療費控除の対象となるのは、実際の治療にかかった費用だけではありません。公共交通機関を利用した場合の交通費、デンタルローンやクレジットで支払った治療費、処方された薬代も含まれます。
ただし、自家用車で通院したときのガソリン代や駐車場代、デンタルローンやクレジット払いで発生した手数料、健康増進のために用いられた医薬品は対象外です。
還付金の計算方法と申請手続き
医療費控除額は、「その年に支払った医療費の総額」から「保険金などで補填される金額」と「10万円または所得総額の5%のいずれか少ない方」を差し引いた金額となります。
還付される金額は、医療費控除の対象額に、申請者が納めた所得税の税率をかけた金額です。税率は課税所得によって異なり、195万円未満で5%、195万円以上330万円未満で10%となります。
確定申告は、治療費を支払った翌年の2月16日から3月15日までに行います。申告し忘れた場合でも、5年前までさかのぼって控除を受けることができます。
まとめ:まずは専門医に相談を
歯列矯正の保険適用は、条件によって大きく異なります。お子様の場合は比較的多くのケースで保険適用が認められますが、成人の場合は特定の疾患や顎変形症など、限られた条件を満たす必要があります。
保険適用外の場合でも、医療費控除を活用することで費用負担を軽減できる可能性があります。
シャングリラデンタル横浜歯科矯正歯科では、患者様一人ひとりのお口の状態を精密に診査診断し、保険適用の可能性についても丁寧にご説明いたします。理事長自らが全ての治療に関わり、責任を持って一貫した治療を行うことにこだわっております。
60分の無料カウンセリングとセカンドオピニオンも実施しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。完全個室のプライベート空間で、あなたのお悩みにしっかりと向き合います。
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著者情報
理事長 梶原 基弘NORIHIRO KAJIWARA
- 経歴
- 九州歯科大学口腔インプラント科医員 外来診療チーム長
- 九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野(口腔インプラント学)大学院歯学博士
- 関東医療法人 東京都、神奈川県にて院長に
- 資格・所属学会
- 日本口腔インプラント学会
- JSOI 日本口腔インプラント学会専門医
- 九州歯科大学歯学博士
投稿論文
- Soft tissue biological response to zirconia and metal implant abutments compared with natural tooth: microcirculation monitoring as a novel bioindicator. Kajiwara N, Masaki C, Mukaibo T, Kondo Y, Nakamoto T, Hosokawa R.Implant Dent. 2015 Feb;24(1):37-41.
- Comparison of plaque accumulation and soft-tissue blood flow with the use of full-arch implant-supported fixed prostheses with mucosal surfaces of different materials: a randomized clinical study. Kanao M, Nakamoto T, Kajiwara N, Kondo Y, Masaki C, Hosokawa R.Clin Oral Implants Res. 2013 Oct;24(10):1137-43.
Two-dimensional real-time blood flow and temperature of soft tissue around maxillary anterior implants. Nakamoto T, Kanao M, Kondo Y, Kajiwara N, Masaki C, Takahashi T, Hosokawa R.Implant Dent. 2012 Dec;21(6):522-7.
