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インプラント治療は、失った歯の代わりに人工の歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。天然の歯と同じような感覚で噛むことができ、見た目も自然な仕上がりになるため、歯を失った方の選択肢として注目されています。
私が日々の臨床で実感するのは、インプラントが単なる「歯の代用品」ではなく、患者様の生活の質を大きく向上させる可能性を秘めているということです。
インプラント治療の最大の特徴は、他の歯の欠損補綴治療と比較して噛む力が強いことです。通常の歯の約80%の噛む力を発揮できるため、ブリッジ(60%)や入れ歯(20%)と比べて圧倒的に優れています。これにより、硬いものでも問題なく噛めるようになり、食事の楽しみを取り戻すことができます。
また、インプラントは周囲の健康な歯を削る必要がないという大きなメリットがあります。ブリッジでは両隣の健康な歯を削って橋を架ける必要がありますが、インプラントは失った歯の部分だけを治療するため、他の歯への負担がありません。
インプラント治療には、多くのメリットがあります。まず何より、見た目が天然の歯に近いという点が挙げられます。特に前歯のインプラントは、審美的な回復が求められる部位ですが、適切な治療により自然な見た目を実現できます。
また、インプラントは顎の骨と結合するため、入れ歯のようにずれたり外れたりする心配がありません。食事中や会話中の不安から解放され、自信を持って社会生活を送ることができるようになります。
私の臨床経験から言えることですが、インプラント治療を受けた患者様の多くは「もっと早く治療を受ければよかった」とおっしゃいます。それほど生活の質が向上するのです。
さらに、インプラントには歯の喪失による骨吸収(骨が痩せていくこと)を防ぐ効果もあります。歯を失うと、その部分の顎の骨は刺激を受けなくなるため、徐々に痩せていきます。インプラントは人工歯根として骨に刺激を与え続けるため、骨の維持に貢献します。
噛む力の回復は、単に食事が楽しめるようになるだけでなく、全身の健康にも良い影響を与えます。噛む能力と認知症発症リスクの関係性も指摘されており、歯を失った人は残存歯が20本以上ある人に比べて2倍も認知症のリスクが高まるというデータもあります。
インプラント治療には多くのメリットがありますが、同時に知っておくべき注意点やリスクも存在します。患者様が適切な判断をするためには、これらを理解しておくことが重要です。
まず、インプラント治療は外科手術を伴います。そのため、全身状態によっては治療を受けられない場合があります。
インプラント周囲炎という合併症があります。これはインプラントと歯肉の周囲に炎症が起きる状態で、進行するとインプラントを支える顎の骨が溶けてしまうことがあります。
ただし、これはインプラント特有の問題ではなく、ブリッジや義歯でも口内の清掃が不十分だと歯周病菌に感染します。どんな治療であれ、定期的なメンテナンスでお口の中を清潔に保つことが大切です。
インプラント治療には十分な骨の量と質が必要です。歯を失ってから時間が経過していると、その部分の骨が痩せてしまっていることがあります。
骨の厚みや高さが不足している場合、インプラントが抜け落ちたり、骨を突き抜けたりするリスクがあります。しかし、現在では歯科用CTによる3次元画像で骨の状態を正確に把握し、必要に応じて骨を増やす処置(骨造成)を行うことで、こうしたリスクを回避できるようになっています。
特に前歯のインプラントでは、見た目の問題が生じることがあります。歯が抜けて外的刺激を受けなくなると、その部分の骨は痩せていきます。インプラント埋入後も少しずつ骨量が減り、歯肉も退縮することから、インプラントの歯が長く見えることがあります。
また、インプラント部分の歯肉が薄いと、金属の歯根部分が透けてしまい、黒っぽく見えることがあります。これらの問題は、事前の適切な診断と治療計画、そして高度な技術によって回避または最小化することが可能です。
インプラント治療は万能ではありません。患者様の全身状態や口腔内の状況によっては、治療を受けられない、あるいは慎重に判断すべき場合があります。
糖尿病はインプラント治療を難しくする要因の一つです。高血糖状態では傷の治りが悪くなるため、インプラント手術はおすすめできません。また、免疫系細胞の活動が低下するので、歯周病菌への感染リスクも高まります。
ただし、血糖値が安定していれば治療は可能です。かかりつけ医と歯科医師が連携し、適切な時期に治療を行うことが重要です。
骨粗しょう症の治療薬(特にビスフォスフォネート系薬剤)を服用している方も注意が必要です。これらの薬剤は顎骨壊死のリスクを高める可能性があるため、投与方法や期間によってはインプラント治療を避けるべき場合があります。
その他、重度の心疾患、血液疾患、免疫不全、悪性腫瘍の治療中など、様々な全身疾患がインプラント治療の禁忌や要注意となる場合があります。事前の詳細な問診と、必要に応じた医科との連携が不可欠です。
重度の歯周病がある場合、まずはその治療を優先する必要があります。歯周病菌はインプラント周囲炎の原因となるため、口腔内を清潔な状態にしてからインプラント治療を行うべきです。
また、顎関節症や強い歯ぎしり・食いしばりがある方は、インプラントに過度な力がかかるリスクがあります。このような場合は、症状のコントロールやナイトガードの使用など、適切な対策が必要です。
喫煙も大きなリスク因子です。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、傷の治りを遅らせます。また、喫煙者は非喫煙者に比べてインプラント周囲炎のリスクが高いことが知られています。インプラント治療を検討している喫煙者の方には、禁煙をお勧めしています。
インプラント治療は一日で終わるものではなく、複数のステップを経て完了します。全体の流れと期間を理解しておくことで、心の準備ができ、安心して治療に臨めるでしょう。
まず初めに、詳細な問診と口腔内検査を行います。当院では60分の無料カウンセリングを実施し、患者様のお悩みやご希望をしっかりとお聞きします。
その後、レントゲン撮影や歯科用CTによる精密検査を行い、骨の状態や神経・血管の位置を確認します。これらの情報をもとに、インプラント治療が適しているかどうか、また他の選択肢(ブリッジや入れ歯など)と比較してどのようなメリット・デメリットがあるかを説明します。
検査結果をもとに詳細な治療計画を立てます。インプラントの本数、埋入位置、必要な前処置(抜歯、骨造成など)、治療期間、費用などを具体的に提示します。
患者様の疑問や不安に丁寧にお答えし、十分に理解・納得いただいた上で治療を開始します。
虫歯や歯周病がある場合は、まずそれらの治療を行います。また、骨の量が不足している場合は、骨造成(GBR法やサイナスリフトなど)を行うことがあります。
これらの前処置が必要な場合、インプラント埋入までに数か月かかることもあります。
局所麻酔を行い、歯肉を切開して骨を露出させ、専用のドリルで穴を開け、インプラント体を埋入します。その後、歯肉を縫合して手術は終了です。
手術時間は1本あたり30分〜1時間程度ですが、本数や症例の難易度によって変わります。当日は腫れや痛みを抑えるため、抗生物質や鎮痛剤を処方します。
インプラント体と骨が結合(オッセオインテグレーション)するまで、一定期間の治癒期間が必要です。通常、下顎で2〜3か月、上顎で3〜6か月程度かかります。
この間、仮歯を入れて審美性と機能を確保することもできます。
オッセオインテグレーションが確認できたら、歯肉を再度切開してインプラントの上にアバットメント(連結部)を取り付け、その上に最終的な人工歯(クラウン)を装着します。
上部構造の素材や製作方法によっては、数回の通院が必要になることもあります。
インプラント治療後も定期的なメンテナンスが不可欠です。3〜6か月ごとの検診で、インプラント周囲の状態や噛み合わせをチェックし、専門的なクリーニングを行います。
適切なメンテナンスにより、インプラントを長期間良好な状態で維持することができます。
インプラント治療は基本的に保険適用外の自費診療となります。そのため、治療費は医院によって異なりますが、一般的な相場を知っておくことで、適切な医院選びの参考になるでしょう。
インプラント1本あたりの治療費は、インプラント体と上部構造(人工の歯)を合わせて30万〜60万円程度が一般的です。ただし、「インプラント1本10万円〜」などの格安広告を見かけることもありますが、これは多くの場合、インプラント体だけの費用であったり、追加費用が発生したりするケースが多いので注意が必要です。
また、骨造成やサイナスリフトなどの前処置が必要な場合は、別途10万〜30万円程度の費用がかかることがあります。
インプラント治療の費用に含まれる内容は以下の通りです。
医院によっては、これらを個別に料金設定している場合もあれば、パッケージ料金として提示している場合もあります。見積もりを取る際は、どこまでの内容が含まれているのかを必ず確認しましょう。
基本的にインプラント治療は保険適用外ですが、以下のような特殊なケースでは保険が適用される場合があります:
ただし、これらは非常に限定的なケースであり、一般的な歯の喪失に対するインプラント治療は自費診療となります。
インプラント治療を含む年間の医療費が一定額を超えた場合、医療費控除の対象となり、所得税の還付を受けられる可能性があります。
また、多くの歯科医院では、デンタルローンなどの分割払いに対応しています。当院でも患者様の負担を軽減するための様々な支払い方法をご用意していますので、お気軽にご相談ください。
インプラント治療は、歯科医師免許を持っていれば誰でも行うことができます。しかし、大学の歯学部ではインプラントについての授業はほとんどなく、卒業後に独自に学ぶ技術です。そのため、歯科医師によって経験や技術に大きな差があります。
安全で成功率の高いインプラント治療を受けるためには、専門的な知識と豊富な経験を持つ歯科医師を選ぶことが非常に重要です。
日本口腔インプラント学会の専門医資格は、インプラント治療の専門性を示す重要な指標の一つです。専門医になるためには、学会が認定した研修施設での一定期間の研修と、厳格な試験に合格する必要があります。
当院の理事長である私も、日本口腔インプラント学会認定の専門医として、長年にわたりインプラント治療に携わってきました。大学院での研究経験も活かし、科学的根拠に基づいた治療を提供しています。
インプラント治療には、精密な診断と安全な手術のための設備が不可欠です。特に歯科用CTは、骨の三次元的な状態を把握するために必須の機器です。
当院では最新の歯科用CTを導入し、精密な診査・診断を行っています。また、手術室の衛生管理も徹底し、感染リスクを最小限に抑えています。
インプラント治療は、歯科医師だけでなく、歯科衛生士や歯科技工士との連携が重要です。特に上部構造(人工の歯)の製作には、高度な技工技術が求められます。
当院では、インプラント治療に精通したスタッフが連携し、患者様一人ひとりに最適な治療を提供しています。また、必要に応じて医科との連携も行い、全身状態を考慮した安全な治療を心がけています。
インプラント治療は、手術が終わり上部構造を装着したら完了ではありません。長期間良好な状態を維持するためには、適切なセルフケアと定期的なプロフェッショナルケア(歯科医院でのメンテナンス)が不可欠です。
インプラントは天然歯と違い、歯と歯肉の間の付着が弱いため、プラーク(歯垢)が付着しやすく、炎症を起こしやすい特徴があります。そのため、毎日の丁寧なブラッシングが重要です。
通常の歯ブラシに加え、歯間ブラシやデンタルフロス、水流洗浄器などを使用して、インプラント周囲を清潔に保ちましょう。特に、インプラントと歯肉の境目や、複数のインプラントをブリッジでつないでいる場合の歯と歯の間の清掃が重要です。
インプラント治療後は、3〜6か月ごとの定期検診をお勧めしています。検診では以下のようなチェックと処置を行います:
定期的なメンテナンスにより、インプラント周囲炎などの問題を早期に発見し、対処することができます。これにより、インプラントの寿命を大幅に延ばすことが可能です。
インプラントの長期的な成功のためには、以下のような生活習慣にも注意が必要です:
当院では、治療後のアフターケアも重視しています。インプラント治療だけでなく、すべての治療において、治療後の状態を長く維持するためのサポートを行っています。
また、コスト面で難しい方には、当院の分院である「OCEAN DENTAL OFFICE MINATOMIRAI」で保険の範囲内でのアフターケアも受けていただくことが可能です。
インプラント治療は、失った歯の機能と審美性を回復するための優れた選択肢です。天然歯に近い噛み心地と見た目を実現し、周囲の健康な歯を削る必要がないという大きなメリットがあります。
しかし、すべての方に適しているわけではなく、全身状態や口腔内の状況によっては治療を受けられない場合もあります。また、外科手術を伴うため、一定のリスクがあることも事実です。
インプラント治療の成功には、適切な診断と治療計画、熟練した技術、そして治療後の適切なケアが不可欠です。特に、インプラント専門医による治療と、定期的なメンテナンスが重要です。
当院では、患者様一人ひとりの状態を詳細に診査・診断し、最適な治療計画を立てています。インプラント治療が適していない場合は、ブリッジや入れ歯など、他の選択肢もご提案します。
インプラント治療をお考えの方は、まずは無料カウンセリングにお越しください。当院では歯科用CTによる精密検査も無料で行っており、ご自身の口腔内の状態を詳しく知ることができます。
「ここに行けば大丈夫」と安心して通っていただける歯科医院を目指し、最良の治療をご提供いたします。インプラント治療に関するご質問やご不安な点があれば、お気軽にご相談ください。
詳細はこちらから:シャングリラデンタル横浜歯科矯正歯科
Two-dimensional real-time blood flow and temperature of soft tissue around maxillary anterior implants. Nakamoto T, Kanao M, Kondo Y, Kajiwara N, Masaki C, Takahashi T, Hosokawa R.Implant Dent. 2012 Dec;21(6):522-7.