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歯を失うことは、見た目だけでなく食事や会話など日常生活の質に大きく影響します。特に多くの歯を失った場合、従来は入れ歯か多数のインプラントを入れるという選択肢しかありませんでした。
そんな中で注目を集めているのが「オールオン4」という治療法です。わずか4本のインプラントで上顎または下顎の全ての歯を支えるこの革新的な方法は、多くの患者様さんに新たな希望をもたらしています。
オールオン4は、インプラント治療の中でも特に効率的で費用対効果の高い選択肢として、近年日本でも広がりを見せています。この記事では、オールオン4の基本的な仕組みから費用、メリット・デメリットまで、歯科医師の視点から詳しく解説します。
オールオン4とは、上顎または下顎の全ての歯(12〜14本分)を、わずか4本のインプラントで支える治療法です。名前の由来も、「All(すべての歯)」を「on 4(4本のインプラントの上に)」支えることから来ています。
従来のインプラント治療では、基本的に1本の歯に対して1本のインプラントを埋入します。つまり、片顎の歯をすべて失った場合、12〜14本ものインプラントが必要になる計算です。これに対してオールオン4では、戦略的に配置された4本のインプラントだけで全ての歯を支えることができるのです。
では、なぜたった4本で可能なのでしょうか?
オールオン4の最大の特徴は、前方の2本は垂直に、後方の2本は最大45度まで傾けて埋入するという独特の配置方法にあります。この角度をつけた埋入により、インプラントと骨の接触面積が増え、安定性が向上します。また、神経や上顎洞などの重要な解剖学的構造物を避けやすくなるというメリットもあります。
もう一つの大きな違いは、装着する人工歯の構造です。従来のインプラントでは、それぞれの歯を個別に作製・装着しますが、オールオン4では一体型の「フルブリッジ」と呼ばれる人工歯を装着します。このフルブリッジは取り外しができない固定式で、見た目も機能も天然の歯に近い状態を実現します。
さらに、オールオン4では多くの場合、手術当日に仮の歯を装着することができます。これにより、患者様さんは手術直後から見た目や会話機能を回復することが可能です。これは「即時荷重」と呼ばれる方法で、従来のインプラント治療では通常3〜6ヶ月の治癒期間を経てからでないと歯を装着できなかったことを考えると、大きな進歩と言えるでしょう。
歯科治療を検討する際、費用は重要な判断材料となります。特にインプラント治療は自費診療となるため、事前に費用の全体像を把握しておくことが大切です。
オールオン4の治療費用は、片顎(上顎または下顎のどちらか)で約200万円〜450万円程度が一般的な相場です。両顎(上下とも)の場合は、約400万円〜900万円程度となります。
一方、従来の方法で片顎すべての歯(12〜14本)にインプラントを埋入する場合、1本あたり35万円〜40万円として計算すると、片顎だけで420万円〜560万円、両顎では840万円〜1120万円にもなります。
つまり、オールオン4は従来のインプラント治療と比較して、費用を大幅に抑えることができるのです。具体的には、片顎あたり約150万円以上の差が生じる可能性があります。
なぜオールオン4は従来のインプラント治療よりも費用を抑えることができるのでしょうか。その理由はいくつかあります。
まず最も大きな理由は、使用するインプラントの本数が少ないことです。従来の12〜14本に対して、オールオン4ではわずか4本で済むため、インプラント本体の費用が大幅に削減されます。
次に、骨造成手術が不要になるケースが多いという点があります。従来のインプラント治療では、骨の量が少ない場合、骨を増やす「骨造成」という手術が必要になることがあります。これには追加の費用がかかりますが、オールオン4では骨量の多い部分を選んでインプラントを埋入できるため、多くの場合で骨造成が不要となります。
さらに、治療期間の短縮も費用削減につながります。オールオン4では手術回数が少なく、即日で仮歯を装着できるため、通院回数が減り、それに伴う費用も抑えることができるのです。
オールオン4の費用は、使用する被せ物(上部構造)の素材によっても大きく変わります。主な素材には以下の3種類があります。
長期的な視点で考えると、初期費用は高くても耐久性の高い素材を選ぶ方が、結果的に総費用を抑えられる可能性があります。治療を検討する際は、初期費用だけでなく、メンテナンスや将来的な作り直しの費用も含めて考えることが大切です。
オールオン4が多くの患者さんに選ばれている理由は、従来のインプラント治療や入れ歯と比較して、さまざまなメリットがあるからです。ここでは、主なメリットを詳しく見ていきましょう。
オールオン4の最大のメリットの一つは、治療期間の短縮です。従来のインプラント治療では、インプラントを埋入してから人工歯を装着するまでに3〜6ヶ月の治癒期間が必要でした。しかし、オールオン4では多くの場合、手術当日に仮の歯を装着することができます。
これにより、患者様さんは手術直後から見た目や会話機能を回復することができ、精神的な負担も大きく軽減されます。「歯がない」状態で過ごす期間がほとんどないため、社会生活への影響も最小限に抑えられるのです。
また、インプラントの本数が少ないため、手術時間が短く、体への負担も軽減されます。これは高齢の方や全身疾患をお持ちの方にとって、特に重要なポイントとなります。
歯を失って長い時間が経過すると、顎の骨が徐々に痩せていきます。従来のインプラント治療では、骨量が少ない場合、骨造成という追加手術が必要になることがありました。
しかし、オールオン4では後方のインプラントを斜めに埋入することで、上顎洞や下歯槽神経などの解剖学的制約を回避しながら、骨量の多い部分を利用することができます。そのため、多くの場合で骨造成手術を避けることが可能となり、手術の侵襲性を低減できるのです。
これにより、従来のインプラント治療では適応が難しいとされていた骨量の少ない患者様さんでも、オールオン4による治療が可能になるケースが増えています。
オールオン4は固定式のため、取り外し式の入れ歯と比較して多くのメリットがあります。まず、食事の際の安定性が格段に向上します。固く締まった食べ物でも問題なく噛むことができ、食事の喜びを取り戻すことができるのです。
また、発音もより自然になります。入れ歯ではどうしても発音に影響が出ることがありますが、オールオン4では天然歯に近い発音が可能です。
さらに、審美性も大きなメリットです。特にオールセラミックを使用した場合、天然歯に非常に近い見た目を実現できます。笑顔に自信が持てるようになり、社会生活の質が向上するという患者さんも少なくありません。
何より、毎日の取り外しや洗浄が不要なため、メンテナンスの手間が大幅に軽減されます。これは特に高齢の方や手先の器用さに不安のある方にとって、大きなメリットとなります。
オールオン4には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットや注意点も存在します。治療を検討する際には、これらの点もしっかりと理解しておくことが大切です。
オールオン4は多くの患者様さんに適応可能ですが、すべての方に適しているわけではありません。例えば、顎の骨の成長が終わっていない未成年の方や、重度の糖尿病、肝臓疾患などの全身疾患がある方は、適応とならないことがあります。
また、歯ぎしりや食いしばりが強い方の場合、インプラントや上部構造に過度な負担がかかるリスクがあるため、注意が必要です。このような場合は、ナイトガードの使用など、追加の対策が必要になることがあります。
さらに、オールオン4を行うためには、現在残っている歯を抜歯する必要があります。オールオン4は一体型の義歯をインプラントで固定する治療法であるため、健康な歯であっても、義歯の装着を妨げる歯は抜歯しなければならないのです。
歯周病を患っている方がオールオン4を検討する場合、特別な注意が必要です。歯周病は歯茎の中に歯周病菌が入り込み、歯を支えている骨を溶かす病気です。
歯周病菌がいる状態でインプラントを埋入すると、細菌感染を引き起こす可能性があります。これにより、インプラントと骨がしっかりと結合せず、インプラントが安定しないリスクがあるのです。
しかし、だからといって歯周病の方がオールオン4を受けられないわけではありません。適切な前処置と、術後の徹底したケアにより、歯周病の方でも成功する可能性は十分にあります。重要なのは、歯周病の状態を事前に改善し、術後も定期的なメンテナンスを欠かさないことです。
オールオン4は一度治療を終えれば終わりというわけではありません。長期的に良好な状態を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
特に、インプラント周囲炎と呼ばれる合併症のリスクがあります。これはインプラント周囲の骨が溶ける病気で、放置するとインプラントの脱落につながる可能性があります。定期的なプロフェッショナルクリーニングと適切なセルフケアにより、このリスクを大幅に減らすことができます。
また、上部構造(人工歯)の素材によっては、経年劣化により交換が必要になることがあります。特にアクリルレジンやハイブリッドセラミックは、オールセラミックと比較して耐久性が低いため、数年で交換が必要になる場合があります。
これらのメンテナンスや将来的な交換にかかる費用も、治療を検討する際には考慮しておくべき点です。初期費用だけでなく、長期的な視点で総費用を考えることが重要です。
オールオン4の治療は、一般的に以下のような流れで進みます。各ステップについて詳しく見ていきましょう。
まず最初に、詳細な診査・診断を行います。口腔内の状態、残存歯の状態、骨の量と質などを確認するために、レントゲン撮影やCT撮影を行います。また、患者様さんの全身状態や既往歴、服用中の薬なども確認します。
これらの情報をもとに、オールオン4が適応かどうかを判断し、具体的な治療計画を立てます。この段階で、使用する材料や費用、治療期間などについても説明を受けることができます。
不安や疑問がある場合は、この段階でしっかりと質問することが大切です。多くの歯科医院では、無料カウンセリングやセカンドオピニオンにも対応しています。
治療計画が決まったら、次は手術です。まず、残っている歯の抜歯を行います。その後、4本のインプラントを埋入します。前方の2本は垂直に、後方の2本は斜めに埋入するのが一般的です。
手術は局所麻酔で行われることが多いですが、患者様さんの状態や希望によっては、静脈内鎮静法(半覚醒状態にする方法)を併用することもあります。
インプラントの埋入が完了したら、多くの場合、その日のうちに仮歯を装着します。これにより、手術直後から見た目や会話機能が回復します。ただし、仮歯は本物の歯ほど強くないため、硬いものを噛むことは避ける必要があります。
インプラントが顎の骨としっかりと結合するまでには、通常3〜6ヶ月の治癒期間が必要です。この間、定期的に通院して経過観察を行います。
治癒期間中は仮歯を使用しますが、食事内容に注意が必要です。特に硬いものや粘着性の強いものは避け、インプラントに過度な負担がかからないようにします。
治癒期間が終わり、インプラントが骨と十分に結合したことが確認できたら、最終的な人工歯(最終補綴物)を装着します。この最終補綴物は、患者さんの噛み合わせや顔の形、好みなどを考慮して作製されます。
最終補綴物の装着後は、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。3〜6ヶ月に一度の定期検診を受け、プロフェッショナルクリーニングを行うことで、長期的な成功率を高めることができます。
オールオン4の治療を長期的に成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、特に重要な3つのポイントについて詳しく解説します。
オールオン4は高度な技術と経験が必要な治療です。そのため、信頼できる歯科医院を選ぶことが何よりも重要です。
まず、インプラント治療の実績が豊富な歯科医師を選ぶことが大切です。日本口腔インプラント学会認定医・専門医などの資格を持っているかどうかも、一つの目安となります。
また、最新の設備が整っているかどうかも重要なポイントです。特にCTスキャンなどの精密な診断機器や、コンピュータガイドシステムなどの最新技術を導入している医院は、より精度の高い治療が期待できます。
さらに、無料カウンセリングやセカンドオピニオンに対応しているかどうかも確認しましょう。治療前にしっかりと説明を受け、疑問点を解消することが大切です。
費用面では、あまりに安価な治療には注意が必要です。使用する材料や技術に妥協があると、長期的な成功率に影響する可能性があります。初期費用だけでなく、アフターケアの体制や保証内容なども含めて総合的に判断することが重要です。
オールオン4の長期的な成功には、適切な術後ケアとメンテナンスが不可欠です。
まず、日々のセルフケアが重要です。オールオン4は一体型の構造であるため、通常の歯磨きとは少し異なるケア方法が必要になります。特に、人工歯と歯茎の境目や、インプラント周囲の清掃が重要です。歯科医師や歯科衛生士の指導に従い、専用の歯ブラシやフロスを使用して丁寧に清掃することが大切です。
次に、定期的なプロフェッショナルケアを受けることも重要です。3〜6ヶ月に一度の定期検診を受け、専門的なクリーニングを行うことで、インプラント周囲炎などのトラブルを早期に発見・対処することができます。
また、喫煙は避けることが望ましいです。喫煙はインプラントの成功率を低下させる要因の一つとされています。特に術後の治癒期間中は、絶対に禁煙することが推奨されます。
歯周病を患っている方がオールオン4を成功させるためには、特別な注意が必要です。
まず、治療前に歯周病を可能な限り改善しておくことが重要です。歯周病の原因菌を減らすことで、インプラント周囲炎のリスクを低減することができます。
次に、正しい歯磨き習慣を身につけることが不可欠です。歯周病の再発を防ぐためにも、適切なブラッシング方法を習得し、毎日欠かさず実践することが大切です。
さらに、定期的なプロフェッショナルクリーニングを受けることも重要です。特に歯周病の既往がある方は、より頻繁に(2〜3ヶ月に一度程度)メンテナンスを受けることが推奨されます。
また、定期的に細菌検査を行うことも効果的です。口腔内の細菌叢を把握し、必要に応じて適切な対策を講じることで、インプラント周囲炎のリスクを管理することができます。
最後に、実績のある歯科医院で治療を受けることが特に重要です。歯周病患者のオールオン4治療には、より高度な知識と技術が求められるため、経験豊富な歯科医師を選ぶことが成功の鍵となります。
オールオン4は、多くの歯を失った方にとって、費用対効果の高い治療選択肢です。従来のインプラント治療と比較して、使用するインプラントの本数が少なく、骨造成が不要になるケースが多いため、費用を大幅に抑えることができます。
また、治療期間の短縮や身体的負担の軽減、固定式による快適な使用感など、多くのメリットがあります。特に、手術当日に仮歯を装着できる点は、患者様さんの精神的負担を大きく軽減する重要な特徴です。
一方で、すべての方に適応できるわけではないこと、定期的なメンテナンスが必要なこと、治療できる歯科医院が限られることなど、いくつかの注意点もあります。特に歯周病を患っている方は、治療前の状態改善と術後の徹底したケアが重要です。
オールオン4の成功には、信頼できる歯科医院の選択、適切な術後ケアとメンテナンス、そして患者様さん自身の協力が不可欠です。これらの条件が揃えば、オールオン4は長期的に見ても満足度の高い治療となるでしょう。
もし全顎のインプラント治療をお考えなら、まずは専門医による無料カウンセリングを受けることをおすすめします。自分の口腔内の状態を正確に把握し、最適な治療法を見つけることが、健康で美しい口元を取り戻す第一歩となります。
横浜みなとみらいにある「シャングリラデンタル横浜歯科矯正歯科」では、オールオン4を含む包括的な歯科治療を提供しています。完全予約制・完全個室のプライベート空間で、患者様一人ひとりに合わせたカスタマイズ治療を行っております。詳しくは、ぜひ無料カウンセリングにてご相談ください。
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